信じる者は×××××


【背景】
舞台はミ=ゴの宇宙船内である。
彼らの技術によって酸素が供給され、また窓を破っても宇宙空間に投げ出されないようになっている。
この空間に迷い込んだNPC高田は、同時に呼び込まれた人間が目の前でミ=ゴに殺された事で発狂し、彼らの敬虔な狂信者と化す。
その後口八丁でミ=ゴとの協力体制を築き上げ、ミ=ゴの使う文字までも自分で解読してみせた。
その中で、この部屋に偶然置いてあった《セデフカーの像の写本》を読み、そして覚えた『身体部分の転移』の呪文を用いて、ミ=ゴの技術でレバー一つで呪文の発動する装置を作成。 元々同性愛者であり、自分の体つきにコンプレックスを抱いていた高田は、理想的な「異性の」四肢を捜し求めるようになる。
自らが適度にモテる事をこれまでの人生で知っている高田は、訪れる者に「一緒に脱出しよう」などと優しく言って上手く騙し、レバーを同時に上げるフリをして相手だけに上げさせて四肢を交換し、動けなくなった相手の脳を研究材料としてミ=ゴに提供していた。
すべては上手くいっていたのだが、探索者の1人前に訪れた相手が魔術師であり、『身体部分の転移』の呪文に気がついてしまう。
さらに装置の仕組みにも気付かれてしまったため、高田は拒絶したものの、ひ弱な肉体の持ち主だった魔術師に四肢を交換されてしまい、明らかに適合しないその四肢によって高田は動けなくなってしまった。
その時の高田の四肢が適合した魔術師は、そのまま悠々と元の世界へと脱出。動けないこの状況でどうするかと考えていたときに、今回の探索者が訪れる事になるのである。
以上の理由から、このシナリオ内での高田には精神的な余裕がなく、迂闊な発言をする事が増えてしまっている。RPの際はその点に注意して頂きたい。

NPC:高田 潤(男) / 高田 希(女)
STR:8 CON:11 DEX:10 POW:7 APP:13 SIZ:5 INT:16 EDU:16 HP:10 SAN:0
技能:心理学70%、信用70%、言いくるめ70%
年齢26歳。このシナリオのキーパーソンにしてSAN:0の狂人。同性愛者である。
被害者のフリをして迷い込んだ人間を騙して四肢を交換し、自らが崇拝するミ=ゴの研究材料となる素体を提供していた。
しかし、探索者の前にやって来た魔術師によって動けない身体となり、最大の危機を迎える事になる。
SIZ5となっているが、これは全く合わない四肢によるマイナス補正で、本来のSIZは探索者と同じである。
性格は基本的にクズ。他の人間の事は「才能も知能もないただの凡人」と徹底的に見下していて、動けない現状でもそれは変わらない。
永久発狂した事によって「人知を超えた知識を得た自分は選ばれた存在であり、人類が更なる進化を遂げるための先導者となる存在だ」と思うようになっている。


《心理学対抗ロール》について
シナリオ内で、NPCの発言に対して探索者が心理学を宣言した場合、NPC高田は同じく心理学で抵抗します。
この際、判定は(探索者の心理学/5 端数切り上げ)と14(高田の心理学/5)の対抗ロールで判定します。これを《心理学対抗ロール》と呼びます。
高田は探索者に情報を渡しますが、その中には嘘も真実もあります。この先、高田に関する部分で青字は真実赤字は虚偽として記します。
難易度調整のために、「本当だと感じる」「嘘だと感じる」という淡白な情報の出し方をしてもいいかも知れません。

【導入】
[ある日、探索者は(仕事中・授業中)に急に倒れてしまった。
その日も体調に問題はなく、探索者は特に持病など抱えていなかったのに、だ。

そして目を覚ました探索者は、自分が見慣れない場所に寝かされている事に気がつきます。
電気の無い部屋のようで、ベッドも固く、床も壁も板張りの木造の建物のようですが、薄暗くて全貌はわかりません。
奇妙な体験をした探索者はSANチェック0/1。]

ここから部屋の探索に入る。が、暗いため目星・図書館や医学、生物学など『見る』技能は常に-20となる。
「部屋全体に目星」などという場合の処理はKPにお任せしますが、先に探索箇所を描写してしまうのがいいでしょう。
またAF、呪文は封印される。日用品程度なら持ち込めますが、火気は全く扱えず、スマホ等電子機器も電源が入らない等の処理をお願いします。


【探索箇所について】
[少し目が慣れてきたので暗がりを見渡してみると、まず自分が寝かされていた固いベッド、少し離れた壁際にデスク本棚、そしてベッドの反対側の壁際には2つの扉が見えた。
はカーテンが閉められており、電気のスイッチらしきものは見当たらないようだ。]
マップ1
【ベッド】
木材で作られた小上がりの箱型ベッドのようだ。探索者はここにシーツも無しに寝かされていた。おかげで少し背中が痛い。
 (目星)注意深くベッドを調べると、床に直接作りつけられたものであり、自分が寝ていた天板は外す事ができるようだとわかる。
 (聞き耳)ベッドの下から錆びた鉄のような臭いがする。
(天板を外す)天板を外すと、そこには3、4人ほどの首の無い死体が納められていた。SANチェック1/1d4
 (死体に「見る」技能)「体格に対して腕と脚のバランスが妙に悪い」ように感じられる。
※この情報は死体を調べる際ならいつ出してもOKです。写本を読んだ後なら《アイデア》で気付いてもいいでしょう。

(モニター点灯後)
 (「見る」技能)ベッドの下、死体に隠されるようにして一冊の黒いノートが置かれている。血まみれのためところどころ読み辛いものの、これが誰かの日記であるとわかる。
 (日記を読む)気になるところだけを抜粋する。

[某月某日:いったいここは何処なんだろう。暗くてよくわからない。どうやら私以外にもう一人居るようだ。
翌日:羽虫のような奇妙な生物と遭遇。もう一人は死んだが、私は彼らと交渉した。彼らもその提案に乗ってくれた。
それから数日後:本棚の裏にあった本…あれは凄い。この世にこんな人知を超えたものがあったなんて!ちょうど新しい素材があるので、実験に使ってみよう。
その数十日後:また新しい素材がやって来た。上手く騙して新しい手足を手に入れた。うまく馴染まないと動く事もできないのは少し大変だ…
その数日後:彼らへの供物も順調だ。彼らは研究を進め、私は自分に合う最高の手足を手に入れる。
日記はここで終わっている。SANチェック1/1d3。]

この日記の事を高田に伝えると、当然のようにとぼけます。しかし心理学対抗に成功で明らかな動揺を感じさせていいでしょう。
日記の日付について質問を受けたなら、「ここが元の空間と同じ時間が進むのならば、最後の日付は一昨日である」と答えてしまって構いません。

【デスク】
電源の切れているモニターとマイクのようなもの、そしてレバーのようなものが見えた。引き出しの類は無い。
そしてモニターの前には鍵のようなものが無造作に置かれてあった。
(モニター)デスクに固定されているようだ。スイッチが見当たらず、電源が点けられない。
 (目星)よく見るとコードの類が一切無い事に気がつく。
 (電気修理・機械修理・電子工学等)故障しているのかと思ったが、触ってみる限りでは分解できそうな箇所も見当たらない。
(マイク)何処に繋がっているのかわからないマイクである。デスクに固定されており、スイッチは入っていないようだ。
 (目星・電気修理・機械修理・電子工学等)スイッチを入れようとしたが、肝心のスイッチが見当たらなかった。
(レバー)下から上に入れるタイプのレバーだ。何に使うのかは見当もつかない。
 (レバーを動かす)ガチガチに固定されていて、どうやっても動かない。
        (※モニターの電源が入った後なら動かすことができる)

【本棚】
3段ほどの小さな本棚で、本がぎっしりと詰まっている。
(図書館)本を一通り確認すると、ほとんどが脳科学に関する本だとわかった。しかし何か特別な本があるようには感じられない。そんな時、1冊の本からメモのようなものが落ちた。
 (メモ)「何が嘘で何が真実なのか、俺にはもうわからない」と書かれています。裏には黒くて異様に太い文字で「だ まさ れ る な」と書かれている。
     ※空白部分にはフレーバー以上の意味はありません。深読みはさせないように「実際に書いてあるような演出」と素直に答えてしまっていいです。

(モニター点灯後)
 (目星)本棚と壁の間に、指くらいなら入りそうな隙間があるのに気がつく。動かすことができそうだ。
(本棚を動かす)本棚を動かすと、そこに1冊の本が隠すように収納されていた。
 (本)異様に禍々しい雰囲気のある本で、手に持っただけで何故か身体が震えるような感覚を覚えた。SANチェック1/1d3、そしてSAN喪失分の神話技能を取得する
  (本を読む)読んでみようとしたが、それは何語かわからない文字で書かれてあり、今すぐの解読は困難だ。しかし、2つの人体のようなイラストに、矢印が描かれている事だけは理解できた
        (※「⇔」のような矢印が描かれています)
そして、そのページには明らかに質感の違う紙が、しおりのようにして挟んである。
 (メモ)簡単な地図のようで、どうやらこの部屋の間取りだとわかる。そして、木製の扉がどこかに繋がっているようだとわかるだろう。
   ※この情報を高田に話すと、明らかに動揺した様子で「その地図は偽物です!」と必死に否定する。

【窓】
カーテンを開けると、そこには吸い込まれてしまいそうなほどの暗闇が広がっていて、探索者を不安にさせる。SANチェック0/1。
(窓を開ける)窓は鍵もなく、ピクリとも動かない。開ける事はできない。
(窓をぶち破る)STR15との対抗。失敗で弾き飛ばされてHP-1d3。成功の場合は外に出たと思って周囲を見渡すと、自分が破ったはずの窓から部屋に戻ってきていた事に気がついた。奇妙な現象を体験してSANチェック1/1d3。

【右側の扉】
鉄製の扉。鍵がかかっていて開きそうにない。
(この鍵穴は探索者にとっては未知の形状をしている)
 (聞き耳)機械音のような異質な音がする。クリティカルで「羽音」を聴けてもいいでしょう。
 (鍵開け)部屋が暗いのでうまく開けられそうにない。(鍵開けは自動失敗します)
 (デスクの鍵)鍵が合わないようだ。

【左側の扉】
木製の扉で鍵はかかっていないようだ。
 (聞き耳)中からは何かが腐ったような臭いがする。
 (扉を開ける)開けてみると、そこには大量の首の無い死体が収納されていた。SANチェック1/1d6。
  (死体の山に「見る」技能)奥にあるものほど白骨化が進んでいる事がわかる。また、手前の死体の胸ポケットには1枚の紙が収められていた。
   (メモ)『奴は自分の心をガードしているかのようだ』と書かれている。裏には何も書かれていない。

(だいたいの探索を終えたところで以下の描写)
[部屋の探索を一通り終えたところで、不意に探索者の耳に何かが聞こえてくる。
『──けて…!たすけて…!!』
声のした方を見ると、今まで点かなかったモニターが点灯し、そこに一人の異性(探索者の性別に準拠)が映し出されていた。
モニターの映像は古い防犯カメラのようなモノクロのもので、画質は悪い。
しかしそこに映し出される範囲の情報から、自分と同じような部屋に居ると推測できるだろう。
どういうわけかその人物は、両腕がだらりと垂れ下がり、両脚も力なく床に投げ出された状態で座り込んでいたのだ。]

ここから、NPC高田との心理戦開始です。

《高田に絶対に言わせて欲しい台詞》
「私気がついたらここに居て…」
※テストプレイの際、高田との会話が始まるや否やレバーを動かそうとするプレイヤーが散見された。
やはりNPCは助けたいと思うプレイヤーが一般的なように思われたので、この台詞を挟む事でプレイヤーの思考を誘導し、NPCに対し疑念を抱かせる事が望ましい。
うまく誘導できたなら、この後のキーパリングがしやすくなると思います。


[映し出された人物は探索者に訴えかける。
「ああ、やっと人が…お願いします、助けてください!
どういうわけか両腕と両脚が動かなくて、逃げられないんです!

探索者はデスクにあったマイクで直接会話ができるので、どんどんRPをして貰いましょう。
なお、モニターは画質が悪く、あまり細かい表情を確認することはできません。
そして会話の中で高田はそれとなく探索者にレバーを操作させようとします
その結果様々な矛盾が生じる可能性もありますが、高田にはそれほど余裕がないという事です。
そして、もう一つの部屋へと繋がる通路がある可能性については、絶対に隠そうとします
これは、ミ=ゴに今の状況が知られたら確実に自分が殺されるという事と、動けない以上異性である探索者に何をされるかわからない、という恐怖によるものです。

【高田に従ってレバーを動かす】
あなたが優しいKPならば、その瞬間に目星かアイデアを振らせ、成功したなら高田の口元がにやりと歪んだ事に気がつけても構わない。
この瞬間に手を止めてDEAD ENDを回避させても構いません。
厳しい裁定をするのであれば、この救済措置も必要ないでしょう。自身の判断でお願いします。

【レバーを最後まで動かした場合】
DEAD ENDへ。

(質問例)
・いつからここに?→「わかりません、もうどれくらい経つのか…
・痛みは無い?→「痛みはそこまで…ですが、首くらいしか動かせなくて…
・この部屋の死体のこと→「皆さん私を助けようとして…何でこんな酷い事を…!
・そちらの部屋には何が?→「私の目の前にデスク、その上にモニターとマイクと、そして鍵があります。あとは本棚、ベッドに扉が2つですあ、それとレバーみたいなものが…
※レバーをわざと最後に言って、探索者に改めて印象付けています。
・本棚の本のこと→「えっと…ごめんなさい、そちらの部屋のことは…

その他、高田は自身がミ=ゴの狂信者であり今回の黒幕であるという「事実に直結する事以外」であれば、身の上の事は正直に話します。
ただし、あまりに関係のない質問が連続した場合は、イライラした様子で救出を急かします

ここから、探索者には部屋の再探索をして貰いましょう。「光源が確保されたことで初めてわかることがある」などとKPから促す形にしても構いません。
モニターが点いた事で、光の届くベッド・本棚については目星補正は打ち消し。

【左側の扉】(地図を手に入れた後)
大量の死体が置かれた部屋。中に入るのは躊躇われる。しかし地図のとおりなら、この先はどこかに繋がっているのだろう。
(アイデア)などで、やけに死体を正面に高く積み上げていて、まるで通路を隠しているように感じさせても構いません。
 (進んでみる)死体の山を掻き分けて進むのは、死者を冒涜している気がしてあまり気分の良いものではない。SANチェック0/1。そのまま進むと、やがて入り口と同じような扉が目に入ってきた。
マップ2
【左側の扉の先】
(聞き耳)誰かの気配がする。
(ドアを開ける)
[ドアを開けたその先には、先程モニター越しに話をしていたあの男性(女性)が居た。
探索者の姿を視界に捉えると、彼(彼女)は絶句する。信じられないといった表情だ。]

ここからの高田は動揺を隠しません。苦し紛れにレバーを動かしてくるよう求めたり、探索者に取り引きを持ちかけたりと、どうにかして最初の部屋のレバーを動かしてもらおうと試みます。
ただし、態度はかなり高圧的で上から目線です
そして高田の目的について質問をするならば、「人知を超えた知識を得た自分が、人類が進化するための先導者となる」などと本気で話します。
さらに探索者からの質問が続いて、目的を隠しきれないと判断した場合は、「人類を導く者の礎になれる幸せを享受して、私のためにさっさと死ね!」などと開き直ります。
このあたりは、KPの受け取った高田像を全て出し切るつもりで、全力でクズの狂人を演じてください。途中から楽しくなってきます

高田の部屋の間取りは最初の部屋とほぼ同じ。デスクに鍵が置いてあるが、他に調べて出てくるようなものは無いので、探索は不要。
どうしても探索したいというPLの場合には好きにさせましょう。クリティカルしたらセデフカーの像(キーパーコンパニオン改訂版p55-56)の欠片の研究レポートでも出してあげれば喜ぶかもしれません。
また、この部屋のレバーは完全なフェイクです。上げても何も起こりません。

【自分の部屋の扉を開けず、最初の鍵で高田の部屋の鉄の扉を開ける】
GOOD ENDです
最初の部屋で見つけた鍵を持っているのなら、この部屋の鉄製の扉から脱出できます。
ただし、脱出しようとすると高田はありとあらゆる嘘を駆使して命乞いをする。
無視するようなら罵詈雑言を吐かせましょう。思いっきりクズRPを楽しむべし。

【高田の部屋の鍵で、最初の部屋の鍵を開ける】
[扉を開けたその先は、今までの木造の部屋とは一転して近未来的な構造の通路になっている。
そしてその通路には、探索者の理解を超える生物が徘徊していた。
体長5フィートほどのピンクがかった皮膚を持ち、甲殻類のような胴体に蝙蝠のような翼がついている。
本来なら顔のあるべきところには、短い触手のようなものに覆われた渦巻状の楕円体がついていた。
人知を超える生物をその目にし、0/1d6のSANチェックとなる。]

このミ=ゴはバイオ装甲を常備しています。KPはそれをPLに伝えて手出しできないようにさせて下さい。

[その生物は探索者の姿を視界に捉えると、ゆっくりと近付いてくる。
『…あぁ、なるほど、彼(彼女)は失敗したのですね』
そう言うと、その生物は羽音を立てながら探索者が居た部屋の方へと飛んで行った。]

ミ=ゴの居た場所から先へ進むと、その先は急激に酸素が薄くなっていて、そのまま進むと窒息してしまいます。
聞き耳やアイデアなどを振ってもらい、成功した場合には「ある地点から先で音が反響していない事に気付く(+知識で真空状態のため音が響かない事に気付かせてOK)」等、通常の空間ではない事に気付かせる描写が必要です。
もちろんミ=ゴからそれを伝える形にしても一向に構いません。
それでも進もうとした場合は、ルールブックの窒息ルールなどを使いつつ、駄目ならロストさせてしまいましょう

[探索者があの生物の後を追うと、木の扉が開け放たれている事から、どうやら高田の部屋へ向かったようだと気付く。
そして高田の部屋が近付いたところで、断末魔のような悲鳴が探索者の耳に届くだろう。
部屋の中に入ると、今まさに謎の生物が、高田の首をその大きなハサミのような手で切断しようとしている場面だった。]

この場面での高田は、醜いほどの命乞いと、探索者への責任転嫁に終始します。
探索者が助けようとした場合には、「だったら最初から素直にレバーを上げて、お前が死んでおけば良かったんだ!」などと逆ギレします。
あとは探索者に対して徹底的に罵詈雑言を吐き続けます。そしてミ=ゴは紳士的に淡々と「探索者が高田を生かしておいてはいけない理由」を言って、PLの救おうとする心を打ち砕きに行きます。
(例:「おや、この人間はあなたを騙して四肢を入れ替え、動けなくなったあなたの脳を我々に提供するつもりだったのですよ?情けをかけるのですか?」)
どうしても救いたいというPLが居たら好きにさせて構いませんが、基本的には救おうという良心を粉砕して頂きたい。

[高田の断末魔が響く中、探索者は扉の鍵を開ける。]
TRUE ENDへ。
ここで探索者が「高田の最期を見届ける」場合には、いとも容易く高田の首が切断される光景を目の当たりにし、SANチェック1d4/2d4。
なおこのミ=ゴは、高田の企みを打ち破った探索者には敬意を抱いており、襲い掛かりません。基本的には「高田と比べて、どちらが人間かわからない」くらいの紳士的な応対をさせましょう。
なかなか部屋から出ないようならミ=ゴから促してもいいです。


エンディング


DEAD END《信じる者はバカを見る》

レバーを完全に上げた瞬間、探索者の四肢から一切の力が抜ける。
力を入れようとしても、どうにも力が入らない。
暗がりの中で首と視線だけを動かして四肢を見たところで、探索者は異変に気がつくだろう。
──自分の腕(脚)は、こんなにも細かっただろうか…?と。
困惑する探索者の耳に、その笑い声は聞こえてきた。
「…ふふ……あはっ、あはははは!!!!」
モニターの向こうで、高田が可笑しくて堪らない、と言った感じに笑い転げていた。
そう、「笑い転げて」いたのだ。さっきまで今の自分のように、四肢に力が入っていなかったはずなのに。
──そこまで考え、探索者ははっとなる。
「今更気付いても、もう遅い!お前は生贄となるんだ、感謝するんだな!!」
原理はわからないが、恐らく…いや、間違いなく、自分と高田の四肢が入れ替わっている。
そして、そんな探索者の不安をあざ笑うかのように、今までビクともしなかった鉄の扉が開き、体長5フィートほどの甲殻類のような生物が現れる。
その手についた鋭いハサミが振り下ろされるのを、探索者は為す術もなく見ていることしかできなかった──
『探索者ロスト』

GOOD END《信じる者は救われる》

扉を開けると、まばゆい光が視界を包む。思わず目を閉じた探索者が次に目を開けると、倒れた後に運び込まれた病院の一室だった。
聞けば、どうやら生死の境を彷徨っていたほどの状態だったらしい。
家族や仲の良い友人達が、口々に探索者の生還を喜んでいた。
ああ、自分は、帰って来れたのだ。そう実感する事だろう。
それにしても、あの後彼(彼女)はどうなったのだろうか。結局あの場所は何だったのか。
きっと答えは出ないのだろうが、探索者はずっと心のどこかに引っかかったまま生きていくのかも知れない。
『探索者生還』SAN+1d6

TRUE END《信じる者は戒める》

扉を開けると、まばゆい光が視界を包む。思わず目を閉じた探索者が次に目を開けると、倒れた後に運び込まれた病院の一室だった。
聞けば、どうやら生死の境を彷徨っていたほどの状態だったらしい。
家族や仲の良い友人達が、口々に探索者の生還を喜んでいた。
ああ、自分は、帰って来れたのだ。そう実感する事だろう。
しかし…あの場所で出会った男(女)の事をふと思い出す探索者。
きっと彼(彼女)は、あそこで何らかの知識に触れ、ああなってしまったのだろう。
もしも自分が先にあそこに行っていたら、自分は果たして……
と、そこまで考えて、自嘲気味に笑って否定する。
自分はああはならなかったはずだ、そう言い聞かせ、しかし、こうも思うのだ。
『人間とは、やはり恐ろしい生き物だ』…と──
『探索者生還』SAN+1d10、神話技能+1、高田の最期を見届けた1d4+2

──特殊エンド──

特殊DEAD END

ミ=ゴの通路の先へ進んだ場合、急激に空気が薄くなって呼吸ができなくなります。
窒息ロール成功で何とか空気のある地点まで戻れますが、失敗した場合はルルブの窒息ルールを使いつつ、ショックロールに失敗でロストとなります。
描写さえしっかりしていればこのエンドには辿り着かないとは思いますが、探索者が辿り着いた場合にはドラマなど感じさせる事なく、あっさりとロストさせて差し上げて下さい。

CTHULHU END《信じる者は堕ちてゆく》

※このエンドの到達条件は《探索者自身の手によって高田を殺害した場合》であす。非常に稀なケースであると言えますが、あり得ない話ではないかと。
描写の途中まではGOOD ENDと同じで、高田に言及する部分からが異なってくる。

[しかし、不意に思い出される「人を殺してしまった」という感覚。
きっとこれからの人生で、この感覚を完全に忘れることは適わないだろう。自分は、罪を犯したのだから。

日常に戻ってしばらく経ったある日、探索者は猛烈な睡魔に襲われて意識を手放す。
そして目が覚めると、見慣れない部屋に居た。近未来的な光景の広がる空間だ。
だが、探索者は不意に気付くだろう。
ここは、あの日訪れた、あの空間だと。
そして、奥のドアが開くと──そこから現れたのは、体長5フィートほどの生物。(ミ=ゴに会っていない場合は詳しい描写を入れる)
その鋭いハサミで掴むようにして、人間の首を運んで来た。
見覚えが、あった。
あの時、自分が殺した、あの人物の首だった。
『さあ、あなたは我々とどう向き合ってくれるのかな?』
そんな声を聞いた時、その生物と同じものが、両手では数え切れないほどの数、部屋に入ってきているのに気がついた──
『探索者ロスト』
※ミ=ゴに自分の探索者が殺されるはずがない、ミ=ゴくらい倒せるなどと息巻いたプレイヤーが居た場合は、最終的に窒息させてしまって構いません。どう足掻いてもロストです。

EXTRA END《信じる者は報われる?》

ここまで記したとおり、このシナリオは高田と共に脱出する事を想定していない
もし高田を連れ帰ったとしても、高田は既にSANが0の狂人なのでそのまま精神病院直行だし、四肢は探索者と交換しなければ適合しないままなので、結局寝たきりになるでしょう。
しかし、それでもなお高田と共に帰還する者が居た場合には、GOOD ENDの描写の後
「半年以上行方不明だった男性(女性)が発見されたが、異常にやせ細っており、また時おり意味不明な事を口にする」
というようなニュースを探索者が見かける描写をして貰えれば、きっと探索者も満足でしょう。
ただし、あくまで作者は高田の救出は推奨しない。世に解き放ってはいけない危険人物である事に変わりはないからだ。

『探索者生還』SAN+1d6、高田の生還1d4


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