注釈


《セデフカーの像》について
これについては注釈が要る人も多いと思うので、キーパーコンパニオンから記載を抜粋。

[毛のない、裸の男性に類似した姿をした像で、高さは180cm足らず。
頭部、胴、両腕、両足の6つに切れ込みがあり、6つの断片に切り離すことができる。
どんなに周囲が暑くても、触れてみるならいつも冷たい。
人間の誕生以前に起源を持ち、いくつかの魔道書は人類の原型であるとほのめかす。]

セデフカーとは、11世紀のコンスタンティノープル(現在のイスタンブール)に住んでいた、当時のこの像の所有者である。
ある日、彼の前に《皮膚なきもの》と呼ばれるニャルラトテップの化身が現れ、彼に多くの呪文を授けた。
その後セデフカーは、自分の得た像の全ての知識を含む5巻の巻物を書き、それぞれ「頭」「腹」「脚」「右腕」「左腕」と像の部品にちなんだ名前をつけた。
完全なセデフカーの像は皮膚なきものを招来するためのものだが、魔術的な力は無限である。

なお、完全なセデフカーの像を目覚めさせるための方法は「右腕」に記載されているというが、他の欠片に何が記載されているのかまでは触れられていない。
本シナリオにおいては、本棚の後ろにあった本を「右腕」以外のどこかの部位の写本とし、そこに『身体部分の交換』の呪文が記載され、その研究レポートを高田の部屋の探索クリティカル報酬、という形で登場させている。
オリジナルのセデフカーの像自体が世界に一つしか存在しないため、写本にしてもおいそれと存在するはずがない、という独自の解釈によるものである。

NPC 高田について

愛すべきクズ
部屋に踏み込まれた後のクズRPは、KPのRP力をフルに使っていただきたい。
元々「探索者にとっての異性」にあたる高田を用意した理由は、異性であったほうが探索者のヒロイックなRPをしやすいと感じたから。
しかし、作りこんでいくうちに「何故高田は《異性の》四肢を欲しているのか」という疑問を自分で抱くようになる。
理想的な四肢、というなら同性NPCに変更しようかとも考えたが、そうなると、動けない現状で別部屋の存在を知られるのが怖い理由が無くなる気がした。
また、高田希ならまだしも、高田潤までも異性探索者が部屋に来ると何をされるかわからない、という考えなのだと思ったところで、
「なら、同性愛者であれば、異性に対する潜在的な恐怖があるものではないだろうか?」
と考え至り、同性愛者であるという設定を追加するに至った。
当然だが、高田が同性愛者であるという情報については、無理にPLに開示する必要は全くない。あくまでフレーバーである。

高田 RP例

私自身が思い描く高田という人間をより知って頂くべく、実際にテストプレイで私がした発言を幾つか紹介する。
ちなみに、これらはテストプレイヤーには概ね好評であった。

高田 潤の場合(直接顔を合わせた後)
「なああんた、僕を助けたいとは思わないかい?腕も脚も、こんな感じになっちゃって逃げられないのは本当なんだ」
「そう!そうなんだよ!物分りが良くて助かるなぁ!さぁ、早くレバーを動かしてきてよ!」
(ミ=ゴによる処分寸前)
「お、お前…っ!助けろ!僕を失うことは、世界にとっての損失だぞ!!」
「お前!!お前!おまえぇぇぇ!!絶対に許さないぞ!!この僕を!世界の理を変えるこの僕を、ここで殺すというのか!!!」
「お前が黙ってレバーを動かして、お前が死んでいれば万事解決だったんだ!!」

高田 希の場合(直接顔を合わせた後)
「ね、ねえ、取り引きしない?私を助けてくれたら、あなたの望みを叶えてあげる」
「あははは! 手足を求めている? 根拠は? 原理は? そんな事がただの人間に可能だとでも!?」
「その中で、世界には私達人間の理解の及ばないものがあると知った。これは革命なの。人類がもう一段上に行くための第一歩!」
「礼儀を知らないのはどっちかしら?私は世界を変える存在よ?そのための踏み台になれるんだから、凡人の命くらい安いものでしょう?」
「そう! 人間の理を超えた知識! これがあれば世界を変えられる! 私は世界を導く者になるのよ!!」
「…っ…いつまでも…煮え切らない男だな! そうよ、私のために死ねって、そう言ってるのよ!!」
「世界を変える者の供物になって死ぬ、こんな名誉な事がある!? わかったならさっさと死んでこい!!!」
「……いつまでもいつまでも、クソ野郎の分際でギャーギャーと!私のために死ねって言ってるんだ!わからないのか!?」
(ミ=ゴによる処分寸前)
「い、嫌、死にたくない!私は、人類を革新する指導者になるのよ!」
「凡人風情が!!早く私を助けてお前が死ね!!嫌だ、殺さないで!!」

あとがき

このシナリオを思いついた理由は大きく2つ。

1つは「NPCとの心理戦」という点。ですが、これに関してはルールをどうするかが最大の問題でした。
最初は(PCの心理学-NPCの心理学)×2.5とかいう、自分でも意味のよくわからない計算式を使って対抗ロールを算出しようとしていたんですが。
そんな時、クトゥルフTRPGやろうずWiki内にて紹介されていた「心理学対抗ロール」という追加ルール案を目にして、これだ!となりました。
提案者のワークさん、細山田さん、ありがとうございました。

そして2つめ。
クトゥルフなのでハッピーエンドばかりとは限らず、助けたかったNPCを助けられなかった、なんていうシナリオも多々ありますが。
しかし、助ける事を前提とするシナリオ、というものに何故か違和感を覚えている自分がいました。
…気がついたらKPとして回しているシナリオがことごとく「NPCを救えない」シナリオになってましたが、それはさておき。
そんな中で、「クトゥルフは狂気をRPするのが楽しいんだ」という論調に触れた際に思ったのです。

じゃあ最初から狂ってて救う気にもならないクズをNPCにすればいいんじゃ?

我ながらどうかしてました。
結果生まれたのがNPC高田。もしこのシナリオを回すKPさんが居たなら、いったいどんな高田が生み出されるのか…

なお、PLとKPによるガチ心理戦をしてみるのも面白いかと思います。
ただし、当然ではありますがKPは心理学対抗ロールの結果については公正な判定を下すことを前提として下さい。

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