遊戯室
[扉を通って真っ白な空間を抜けると、そこは中世の建造物を思わせる全面が石造りの一室。
窓は無いものの、相変わらず暗くはなく、視界に問題はない。
部屋を見渡してみれば、中央に木製の四角いテーブルと、その四方を囲むように椅子が置かれ、探索者がそこへ座るのを促しているかのようだ。
探索者から見て部屋の左奥には一体の甲冑が置かれており、そしてテーブルを挟んで、探索者達の通って来た扉の反対側には牢屋のようなものが見えた。]
(壁)
壁も一面が石造りのように思われる。よく見ると材質は一概に石とも言えない不思議な物質のようだ。外の音などは聴こえない。軽く叩いてみると非常に分厚い壁であると感じられた。それ以上は特に何もわからない。
(牢屋を見に行く)
牢屋に近付くと、扉の前からではわからなかったが、牢屋の隣に壁と同質の素材で作られた扉があるのに気が付く。そこには「非常口」と書かれた紙が貼ってあった。
(非常口)
周囲の壁とまるで同化しているかのようで、一見するとここが扉とはわかりにくい作りとなっている。非常口には鍵がかかっています。
(非常口に聞き耳)
(ゲームを始める前の場合)中からは何かが蠢いているような、異様な気配がする。おぞましい感覚を覚えた探索者はSAN値チェック0/1。
クリティカル報酬で、探索者の本能が、この扉を開けてはいけないと警告しているように感じられる
※非常口に鍵開けをして成功し、かつ聞き耳等をしないまま扉を開けた場合には、ページ下部のイレギュラーを参照
(ゲーム終了後の場合)何の音も感じないが、微かに暖かいように感じる。
(牢屋)
牢屋の扉は施錠されており、また鍵穴も見当たらないため、現状では開ける事は困難だと思われる。
また、この牢は石造りの部屋と比べて、どこか異質な雰囲気を感じます。ただ、どう異質なのかはうまく説明はできません。
(目星)→牢の中を目を凝らして見てみると、牢屋の隅に何者かの影を発見した。
そこに居たのは小〜中学生程度の痩身の少女。探索者達と同様に、就寝時そのままの着衣だと思われる。
彼女は探索者達に気がつくと、鉄格子に駆け寄って何かを訴えるように口をぱくぱくと動かします。
様子を見る限り、どうやらこの子は喋る事ができなくなっているようだ。
※技能ロールなしでも、部屋の騒がしさを感じて少女の方から近付いてきた、という形で情報を開示して構いません。
この時、KPは少女が「牢屋の内側に鍵穴がある」事を伝えたそうにしているのを、プレイヤーに気付かせるよう誘導しましょう。
少女に対する心理学またはアイデア成功等で、上記の情報は開示して下さい。
※NPCが既に探索者と共に行動している場合、「牢屋の中には、探索者達が所持アイテムの中で最も大事にしている『宝物』が置かれていた」として、ゲームクリアで牢が開く旨を伝えて速やかにテーブルについて貰おう。
この場合には鍵穴は内側にもなく、ゲーム終了と同時に開く。ただし空間の崩壊は、探索者が席を立った段階で始まるようにすると良いでしょう。
(牢の扉を殴る・壊す等)
試しに扉に触れてみると非常に硬く、あまり馴染みのない材質の金属で作られたような扉のため、人間の力で壊すことは不可能そうだと感じた。
※物理学に成功した場合には、これが未知の金属のようだとわかっても良い。
(甲冑)
中世ヨーロッパあたりで使われていたような甲冑だ。インテリアのつもりだろうかと探索者は思うだろう。
(目星)→よく観察すると、腕と脚の関節部分が完全に接合されており、もしこれを着用したとしても、まともに動く事はできないのではないかと感じられる。
(甲冑を殴る等した場合)探索者は唐突に、この甲冑から異様な雰囲気を感じ取る。今にも襲い掛かられそうな感覚を覚えてSAN値チェック0/1。
ふと我に返ると、甲冑は何事もなくそこに佇んでいた。気のせいだったようだ。
※これ以上得られる情報は何もありません。外して装備したいという探索者にはプレゼントしてあげて下さい。頭と胴だけは持ち帰れます。
アイテム
【中世の甲冑(頭) 装甲+2 目を使う技能全般-10】(視界が非常に悪い)
【中世の甲冑(胴) 装甲+2 上半身の動作に関わる技能全般-10 DEX-2】(非常に動きにくい)
腕と脚は接合されていて装着不可。
(テーブル)
テーブルの上には、細い金属のようなものでできた円形のバンドが4個と、「用意したヘッドバンドを装着してお掛け下さい」と記されたメモが置かれてある。
※全裸を宣言した探索者に反省が見られるようなら、ここにバスローブが用意されていても構わない
(テーブルの裏)
何もありません。
(メモの裏)
裏には「準備ができたら使いの者にお菓子を持たせます」とだけ書かれてあった。
(ヘッドバンド)
何の金属でできているかはわからないが、非常に頑丈で、折ったり壊したりはできなさそうだ。
(ヘッドバンドに対し神話技能)→この金属が人知の及ばぬものであるとわかる。SAN値チェック0/1。
※牢屋の扉に触れたプレイヤーにはアイデアで、同じ材質だと感じさせても良いかも知れない。
(全員がヘッドバンドを装着)
全員が用意されたヘッドバンドを頭に付けると、それは途端に探索者の頭にサイズを合わせるかのように収縮し、痛いくらいの強さで頭を締め付けた。突然の出来事に1/1d3のSAN減少。
(装着後にヘッドバンドを外そうとする)
頭にぴったりと吸い付くかのように、ビクともしません。
(より強い力を込めて外そうとする場合)
力を込めてヘッドバンドを外そうとすると、まるで皮膚が丸ごと剥がれてしまいそうなほどの激痛を覚え、腕に入めた力が自然と抜けてしまった。あまりの激痛だったため1/1d3のSAN喪失。
(他の探索者に無理矢理外してもらおうとした場合)
他PCが力を込めて探索者のヘッドバンドを外そうとすると、あまりの痛がりように思わず力が緩んでしまう。外す側も外される側もSAN喪失1/1d3。
※それでも他の探索者に無理矢理ヘッドバンドを外させる場合※
痛がる探索者に申し訳ないと思いつつも力を込め続けると、今までビクともしなかったヘッドバンドが、少しだけ動いた。
外れた…そう思った瞬間、探索者達の目に映ったのは、元々ヘッドバンドが締め付けていた箇所の皮膚が裂け、そこからおびただしい量の血が流れ出し、顔全体が真っ赤に染まりつつあった探索者の姿だった。
衝撃的な光景に、無理に外していた者は1/1d6+1、それを見ていた者は全員1/1d4のSAN減少、さらに外して貰っていた側はあまりの激痛に1d6+1のSAN喪失、その後出血多量により気絶判定。
※この場合、探索者の中に医学または応急手当を持つ者がいたのなら
・(医学成功→応急手当+20成功)
・(応急手当に成功→気絶した探索者の幸運-20ロール成功)
で、どうにか止血に成功した事にさせても良い。
しかしそれ以外の場合は、止血する確かな理由付けが不可能なので、出血を止められずに継続ダメージを受けることになる。HPが0になった時点で、その探索者はロストとなります。
その際には、牢屋の鍵が開いてNPCが参加する流れにすると良い。しかしNPCを含めて3人以下になってしまったなら、BAD END 2へ。
(全員ヘッドバンドを装着して着席)
[探索者達が椅子に座り、何が始まるのかと待ち構えていると、最初に自分達の居た白い部屋から何かの気配を感じた。
※メモの裏を見ている場合には、それがメモに書かれていた「お使い」なのではないかと探索者が気付きます。
そして、探索者達の前に現れたのは、
まるでヒキガエルのような、かと思えばタコのようであり、またはイカのようであったりと、常に不定形に姿を変える生物。
その生物は、外観の定まらないその身体を、ズルズルと引きずるようにしてこちらに移動して来たのだ。
そしてその生物からは、どういう原理かはわからないものの、嫌らしい吹奏楽器のような音が聴こえて来るようだった。
異形の生物を目撃した探索者達は、1/1d10のSAN値チェック。]
※この「外なる神の従者」には、プレイヤーから仕掛けない限り戦闘は発生しない。と言うか戦闘になったらまず勝てない。戦闘になってしまった際はイレギュラーを参照。
発狂等した場合に探索者達が右往左往してるのを、若干引き気味に見守ってくれます。基本的に礼儀正しい。
[探索者達が警戒して身構える中、その生物は持ってきたトレイをテーブルの上に置くと、そのまま踵を返して身体を引きずりながら、元来た部屋へと戻って行ってしまった。
(非常口に鍵開けしていた場合、鍵を閉めてから退出)
どうやら本当に「お使い」をしに来ただけだったようだ。
テーブルに置かれたトレイには、裏向きに置かれた4枚のカードと、皿に載せられたクッキーと人数分の暖かい紅茶のような飲み物、そして「まずはこれでも食べてリラックスして下さい」と書かれたメモが置いてあった。]
(カード)
手に取ってみると、そのカードは両面に同じ模様がプリントされた"両裏面"という奇妙なカードだとわかる。
(目星)→カードを重ねて貼り付けたのではなく、最初から1枚のカードなのだと思われる。
(クッキーまたは紅茶)
一見すると罠などではないように見える。また、紅茶のカップの底に何かが書いてあるようにも見えるが、字が小さく、中身の入った状態では読み取る事が難しい。
目星のクリティカル報酬・または医学、薬学等成功で、毒が入っていない事がわかる。
(クッキーまたは紅茶を口にする)
果たしてこれを口にしてもいいのかと身構えていた探索者達だったが、口にするとそれは何の問題もなく食べられるものであるとわかり、警戒していた分だけ本来の味以上に美味しく感じられた。1d3のSAN回復です。
※食べないと宣言したプレイヤーが居て、他の探索者のSAN回復を受けてから食べる場合には、食べても大丈夫な物だという安心感から警戒が解けた状態になるため、SAN回復は1のみです。
また、外なる神の従者との遭遇等で一時的狂気に陥っていた探索者が居た場合、この時点で回復させて構いません。
PLが牢の少女の事を完全に忘れているようなら、KPから聞き耳ロールを促して思い出させてあげましょう。
少女はクッキーを食べている探索者達を、ものすごく恨めしそうに見ています。クッキーをあげたらめちゃくちゃ喜びます。
[束の間のティータイムを終えると、全員がティーカップの底に書かれた「好きなカードを1枚選んで下さい」という文字に気がつきます。
探索者達は言われるがまま、両裏面の4枚のカードのうち1枚を自分の手に納める事だろう。
そして、先程の「お使い」が再び現れて、カップとクッキー皿をトレイに重ね、またズルズルと体を引きずって退室して行った。]
※短時間に2度目の遭遇のうえ、敵意が無い事に探索者達が気がついているため、ここでのSAN値チェックは無しです。
[「お使い」が去った後、探索者達はトレイの置かれていた場所に、新たなメモが置かれているのに気がつく。
メモには「ゲームのルール」という見出しのあと、以下の事が書かれてあった。]
ここから「ゲーム」の説明に移行して下さい。
────《!遊戯室でのイレギュラー》────
・「ゲーム」開始前に鍵開けで非常口を開けて脱出しようとした場合
「非常口」を開けた探索者の目の前に広がるのは、暗い部屋だった。
異質な空気と悪臭に探索者が身構えると、奥の方で何かが明滅しながら蠢いている事に気がつく。
暗闇に目が慣れてきた頃、探索者が目にしたのは、黒っぽい玉虫色の、臭くて伸縮性のある柱状のものだった。
その体は原形質の小泡でできた不定形の塊であり、体全体から微光を発している。
天井までの空間を満たすその巨体の前面についている、チカチカと点滅する緑色の光は、無数の目が形成されたり、また無くなったりしているところなのだ。
そしてそれは探索者を視界に捉えると、『テケリ・リ!』と奇怪な嘲るような叫び声を上げるのだ。
【玉虫色の悪臭】ショゴスを目撃してしまった探索者はSAN値チェック1d6/1d20。
※よほどの初心者でなければ、ショゴスを相手に立ち回るのがどれほど愚かな事かはわかっているはずなので、「すぐにドアを閉める」等の宣言があった時点で探索者は慌てて引き返した事にし、そしてショゴスは部屋を出て追跡をしないものとする。
また、ショゴスの描写の途中でドアを閉めると宣言した場合描写はそこで止め、「はっきりと認識する前に扉を閉めた」と判断して、SANチェックは半分の1d3/1d10で構いません。
《!!ショゴスに探索者が殺された場合はロストになります。その場合はBAD END 1『玉虫色の悪夢』へ!!》
ショゴスを用意したのは、ゲームを終えるまで退室は許さないという、ニャル様の御意志です。決してシナリオ製作者がゲーム前に鍵開けで脱出されると困るから設定した、とか勘繰ってはいけません。
・「お使い」の外なる神の従者に攻撃を仕掛けた場合
探索者による突然の一撃。完全に不意を付いたつもりだったが、攻撃を加えた部分には傷らしい傷は無く、その箇所すらもすぐに形を変えてしまう。
そして探索者は気付いてしまうだろう。常に姿を変えるこの不定形の生物に、不意打ちのような小細工は意味を成さない事を。人間の理解の及ぶ範囲の攻撃では、この生物には何の影響ももたらなさないであろう事を。
この事実を理解した探索者達は1/1d4のSAN値減少、その後戦闘に入ります。
※ここでKPから「物理攻撃は全て無効」である事をプレイヤーに伝えて下さい。このシナリオ内には打開策となるアイテムも存在しませんので、探索者に勝ち目はありません。
それでも退かない愚かなプレイヤーには、戦闘で現実を突きつけてあげましょう。多くの魔術を扱う神話生物ですが、2d6回攻撃となる触肢だけで圧倒できるはずです。
プレイヤーが戦意喪失を宣言、または探索者が気絶した時点で、外なる神の従者はニャル様の命令によって立ち去ります。もしダメージがHPを超過してしまったのなら、殺さないよう手加減していた事にして、HP1で生存させてあげて下さい。
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